小湊山誕生寺〔かおり風景100選〕 -千葉県鴨川市小湊-
2020 / 03 / 20 歴史コラム
目次
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誕生寺(たんじょうじ)は、日蓮聖人の誕生を記念して建立された寺院です。寺の前に広がる海の沖合には、日蓮誕生の際に鯛が集まり蓮の花が咲いたという逸話があり、地元民はこの海域での漁を禁じ「鯛の浦」と名づけ保護してきました。この真鯛の群泳は現在でも見ることができ、国の特別天然記念物に指定されています。
誕生寺は日保上人により建治2年(1276)日蓮聖人誕生の地に創建されました。しかし、明應2年(1498)大地震と大津波により流失し、現在の地に移りました。小湊村は近海航路の港門前町として栄え、この地方では最も大きな港町でしたが、元禄16年(1703)再び大地震と大津波に被災し、寺院も門前町も大変な被害に遭いました。幸いに徳川綱条が光圀の追善に七堂伽藍を一基建立され、旧に復することが出来ました。それも束の間、宝暦8年(1758)今度は大火のため釈迦堂、祖師堂、本堂を焼失しました。現在の祖師堂は天保13年(1842)、貴賓殿は昭和6年(1931)に再建されたものです。
さて、この寺で忘れていけないのは海上の「鯛の浦」です。「寺面海上十石」は徳川三代家光により御朱印を賜ったものですが、この鯛は古来より名物で、昔は手漕ぎの和船で見物していたものが、現在ではディーゼルエンジンの遊覧船に代わっています。鯛は比較的深海を好んで生息するものですが、鯛の浦の水深は10~20mと浅く、一般的には根つきになることはなく、現在の科学によっても原因は解明されていないとされています。
誕生寺は「誕生寺の線香と磯風」として、環境省が日本各地の自然や生活、文化に根ざした香りのある地域を選定する「かおり風景100選」にも選ばれています。寺院は山手にあることが多いものですが、確かに線香と磯の香りが同時にするところは珍しいと思います。
地図-誕生寺
大本山小湊誕生寺
2020-03-20
総門
仁王門(千葉県指定文化財)
祖師堂
鯛の浦遊覧船乗り場
撮影日:2020年02月03日