林芙美子記念館 -東京都新宿区中井-
2022 / 05 / 20 歴史コラム
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林芙美子記念館は、「放浪記」「浮雲」などの代表作で知られる作家・林芙美子が、晩年に住んでいた家です。
芙美子は山口県下関生まれといわれ、家庭環境は複雑で、九州を転々としながら幼少期を育ち、大正5年(1916)に広島県尾道市に移り、女学校を卒業しました。大正11年(1922)に上京した芙美子は、様々な職業を経験し、男性遍歴も多く、作品を雑誌・出版社に売り込んで回りました。昭和元年(1926)、手塚緑敏と内縁となり、昭和3年(1928)から小説「放浪記」を連載し好評を得ました。昭和5年(1930)に落合の地に移り住み、戦時中は文筆活動も続けながら、新聞社の特派員なども経験し、戦後出版社が再開すると、執筆活動も活発になり、新聞、雑誌の連載や、「晩菊」「浮雲」などの数々の作品を残しましたが、昭和26年(1951)心臓麻痺により47歳で急逝しました。
落合のこの土地を購入し新居を建設したのは昭和14年(1939)ですが、芙美子は建築についても勉強し、設計者や大工を連れて京都の民家を見学に行ったり、材木を見に行くなど、思い入れは格別でした。数寄屋造りの家は、こまやかさが感じられる京風の特色と、芙美子らしい民家風の趣をあわせ持った、落ち着きのある住まいになっています。四季折々の花が見られる庭には、芙美子が自ら買い求めたざくろ、カルミア、壺井栄から贈られたオリーブなど、今でも見ることができます。
地図‐林芙美子記念館
林芙美子記念館
撮影日2018年6月08日